【プロボクシング バンタム級10回戦 6月24日 東京・大田区立総合体育館】
元WBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾(志成・27)が、4回1分34秒で4試合ぶりにKO勝ちを収めた。
まだ27歳。もう27歳。
15試合連続KO勝ちという日本タイ記録を持つ元世界チャンピオンに、まだ27歳、もう27歳、どちらの表現が適当なのか、筆者は迷う。
同じ沖縄県出身の大先輩であり偉大な元チャンピオン・具志堅用高氏(67)に才能を見出され、その強打を武器に世界チャンピオンにまで上り詰めた比嘉大吾。
2018年4月15日、信頼していたはずの師匠の無茶振りとも言える狭い試合間隔のなかでの減量失敗により、比嘉大吾は世界王座どころか何もかもを失ってしまった。
若い才能が開花したところに、年寄りの余計な世話が除草剤のように働き、開いた才能は進むべき道を失い、花を枯らし、葉を落とした。
そこから再起する道を選べて良かった。
本人そして本人に近い周囲だけしか分からないだろうどん底で、よく再起の道を選べたものだ。
しかし、比嘉大吾の苦難の道は、あれから5年経ってもまだ歩み始めたばかりとしか言えない。
もう27歳なのか。
まだ27歳なのか。
失意の時間に失ったものたちを取り戻せるかどうか、全く分からない。
それでも比嘉大吾は前に進んでいるように見える。
前に進もうと足掻いている姿が見える。
勝ってほしい。あの頃のような豪快なKOで勝ってほしい。
2023年6月24日。比嘉大吾は相手を4度もダウンさせた。
ハードパンチは戻ってきつつある。
それを撃つ、ハートは。
比嘉大吾の姿に勇気をもらう人たちもいるだろう。筆者もその一人だ。
自分の姿に勇気をもらう人がいる、ということが、比嘉大吾を奮い立たせると願いたい。
比嘉大吾よ、再び世界へ行ってくれ。
(ダベリィマン)
0件のコメント