【マラソングランドチャンピオンシップ2023(男子)】
マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)2023のテレビ中継が実に面白かった。
同日(2023年10月15日)、同コース、スタート時刻は10分違いで設定され、片やNHKではMGCの女子部門が、片やTBS系列ではMGC男子部門が生中継で放送された。
それぞれにメインのレース映像に加えて、お互いのレース状況の映像も入れての放送が功を奏したと見る。
そして何より、レースそのものが面白かった。
タイムではなく着順が全ての結果を握る(2位まではパリ五輪内定)というMGCルールになると、ともすれば出場者が互いにけん制し合って低調なタイムに終わる、つまらないレースになる可能性もあるのだが、昨日は違った。
男女ともにレースを引っ張る選手がいたからだ。
特に男子は、川内優輝が序盤から大逃げを打って35㎞までトップをひた走っていたからである。
序盤から逃げ、大逃げに逃げ、35kmで追いつかれてからも全力でついていき、結局4位でゴールした。
トップ2人がパリ五輪内定、3位の大迫は他レースの結果待ちとなり、川内の4位は五輪との関係という意味では5位以下の選手と同じ立ち位置だ。
しかし、この日のMVPは川内優輝で間違いない。
そして、川内以外の全ての選手は、下手をすると名前すら憶えてもらえなかったかもしれない。
何故なら2時間余りのレースのうち、川内が1時間40分近くトップを走っており、テレビ画面を占領し続けていたからだ。ついでに言えば、小さいながらも「あいおいニッセイ同和損保」の名前も表示され続けていた。
マスメディアがどんなに2位集団にスポットを当てようが、視聴者の興味は誰が1位であるか、最終的には誰が1位になるのか、というところに行き着く。
この日は1時間40分近くも1位で走っていた川内優輝の独り勝ちである。
そして女子部門も面白いレースとなった。
20km過ぎからレースが動き始め、一山と細田がレースを引っ張り、鈴木と加世田もついていって、最後は鈴木が逆転した。
視聴者の立場から正直に言うと、優勝者が誰であるかより、面白いレースだったかを重要視してしまう。
パリ五輪出場に人生をかけているマラソン選手諸氏がいて、それをバックアップする指導者やチームがいて、マスメディアの中継があって初めて視聴者がそのレースを愉しめるのだから、もちろん選手全員に頑張れと言うしゴール場面では拍手を送り続けるわけだが、それでも、面白いレースか否かが重要になってくる。
着順争いに在りがちな、低調なタイムで40km辺りまで2時間も団子状態のレースを見せられたらどうしようかというところだったが(そうなりそうな予感がしたら30km付近でチャンネルを変えていたと思うが)、レース序盤から大逃げに出た男子の川内優輝、そして女子も20km過ぎからレースが動いたおかげで2時間30分もの時間を非常に愉しむことができた。
面白い勝負こそスポーツコンテンツの魅力である。
けん制し合って誰も前に出てこない退屈なレースと、タイムも狙いながら熾烈な順位争いが見られるレース。
どちらが面白いかは、言うまでもあるまい。
だからこそ、川内優輝のMVPに異論を挟む人はいまい。
2023年のMGCは男女とも実に面白いレースだった。
これからも面白いレースが見られることを願っている。
(ダベリィマン)
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